世界的にまだ収束の見通しが立たない新型コロナウィルス感染症。
しかし、ワクチン接種が進展して多くの国で入国制限が緩和されたことから、海外旅行をする人も増えつつあります。
国連世界観光機関(UNWTO)の発表によると、2021年7月の海外旅行者数は前年同月より約2,000万人増加しています。
海外に行くときはほとんどの人が病気や事故などのアクシデントに備えて海外旅行保険に加入しますが、新型コロナウイルス感染症に対して海外旅行保険は使えるのでしょうか?
ここでは、渡航先で新型コロナウィルス感染症にかかったときの海外旅行保険の取扱いについて、わかりやすく解説していきます。
新型コロナウィルス感染症も「病気」として海外旅行保険の補償対象に
新型コロナウィルス感染症(以下新型コロナ)はこれまで「指定感染症」に位置づけられていましたが、法改正によって2021年3月から「新型インフルエンザ等感染症」に追加されました。
つまり、コロナは特殊な感染症扱いではなく、インフルエンザと同じように「病気(疾病)」とみなされるようになったわけです。
これを受けて三井住友海上や日新火災、あいおいニッセイ同和損保、AIG損保、損保ジャパンなどほとんどの保険会社が新型コロナも補償の対象とする商品改定を行いました。
新型コロナ関連でもこんな費用は補償の対象にはならない
海外旅行保険の加入者であっても、損害が発生した状況によって保険会社は保険金を支払う義務を負わないとすることができます。
これを「免責」といい、新型コロナに関しては次のようなケースが免責事項に該当し、補償は受けられません。
- 出発前に感染していて現地で発症した場合、現地で受けた疾病治療費および救援者費用。
- 医師の指示ではなく、薬局などで簡易のPCR検査を受けた場合の費用。
- 渡航中止勧告を受け入れなかった場合の「旅行変更費用特約」。
この特約は、出国前や旅行中に新型コロナに感染して旅行を中止する際に発生するキャンセル料などが補償されるもの。
外務省から渡航中止勧告が出ている国へ行く場合は補償の対象になりません。
反対に勧告が出されていないのに「コロナが心配だから」と自分の意思で取り止める場合も補償されないので、事前に勧告の有無を確認する必要があります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険に「上乗せプラン」がおすすめ
海外旅行には必携のクレジットカード。ほとんどのカードに海外旅行保険が付帯しているのでわざわざ加入する手間がかからず便利です。
ただし、カードでも自動付帯と利用付帯の2タイプがあり、次のように保険が適用される条件が異なります。
自動付帯と利用付帯の違い
自動付帯:カードを保有すれば無条件で海外旅行保険が適用されるタイプ(三井住友ゴールドカード、エポスカード、楽天プレミアムカード、JALカードなど)
利用付帯:ツアー料金や航空費、空港までの交通費(公共の交通機関に限る)などの一部をカード決済することで海外旅行保険が適用されるタイプ(アメックス、三井住友カード、楽天カードなど)
なお、新型コロナの影響で自動付帯から利用付帯に切り替えたカード会社もあります。アメックスは2020年に自動付帯から利用付帯になりました。
セゾンカードやクレディセゾンが発行するUCカードも利用付帯になると発表されています。自分のカードはどちらのタイプか再度確認しておく必要があります。
クレカ上乗せプランで不足分をカバーする
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、ケガが原因の傷害補償が主体です。
病気で死亡した場合の補償はなく、病気の治療費用も一般の海外旅行保険に比較するとかなり安い金額に設定されているのが通例です。
アメックスの場合、ゴールドカードで治療費用は300万円です。
【まとめ】
現段階ではほとんどの海外旅行保険が新型コロナに対応しています。しかし、今後の感染状況によってどのような措置がなされるかわかりません。
待ちに待った海外旅行を計画されている方は、外務省のホームページなどで最新のコロナ情報を入手して、より安全なスケジュールを立てるようにしましょう。
外務省 海外安全ホームページhttps://www.anzen.mofa.go.jp/
なお、この記事は2021年10月15日時点の情報に基づいて作成したものです。